事例紹介 - 株式会社 応用技術研究所│静岡県湖西市

JR東海373系電車の車両設計

〜車体の軽量化が生んだ、知られざるメリット〜

ワイドビュー特急車両の強度計算


JR東海のエリアでは、いろいろな路線でお目にかかる特急用車両があります。

373系電車。

ワイドビューふじかわ、ワイドビュー伊那路やホームライナー等で使われている車両です。

特急だけでなく普通列車にも使われており、汎用性が高いことが特長です。

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JR東海のサイトより引用


ワイドビュー車両の知られざる秘密


373系は耐腐食性、無塗装化、軽量化のためにステンレス製軽量車体を主構造としています。

実はこの車両、モノコックボディなんです。

乗用車では一般的ですが、鉄道車両では珍しいことなのです。

いったい、どうやってモノコックボディを実現できたのでしょう。


モノコックボディを支える技術


ステンレス鋼板を重ね合わせてスポット溶接することで、車体の強度を維持しています。

もし、1枚の鋼板で同じ強度を実現しようとすると、2枚重ねるよりも重量が増えてしまうのです。

ステンレス鋼板を2枚重ねることで、車体に応力がかかった際に鋼板どうしが擦り合います。

このときに発生する摩擦力を利用し、変形を防止するのです。

2枚の鋼板を重ねることで、1枚のときよりも軽くでき、しかも同じ強度を維持できるというメリットがあります。


軽量化が生んだ効果 その1 省エネ


373系のモーター車と付随車の比率は1:2です。

1両のモーター車がどれだけのモーター無し車両を動かすかという数値です。

通常、通勤電車や特急電車では、この比率は1:0.5〜1:1.5です。

373系の比率が1:2ということは、1両のモーター車で2両の付随車を動かすということになります。

モーター車両の両数を減らすことができたおかげで、電力使用量が減るという省エネ効果が出ました。


軽量化が生んだ効果 その2 メンテナンスコスト低減


車体を軽量化することで、レールへの負担が軽くなりました。

その結果、保守費用が下がるというメリットです。

軽量化することで、レールの損傷が減り、メンテナンスに掛ける時間を減らすこともできたのです。


軽量化が生んだ効果 その3 加速度向上


車体が軽くなったことで、加速度も向上しました。

373系が運用開始した当時は、従来の電車よりも強い加速度を誇っていました。

モーター出力向上やインバータ制御技術の導入ももちろんですが、軽量化による寄与が大きいことは明らかです。


373系の事例に見る、強度計算に必要なパラメータ


必要な強度を計算するだけでしたら、フレームを太くするとか、フレーム数を増やすということで基準を満たすことができます。

しかしながら、重量というパラメータを入れることにより、単純な強度計算では済まなくなります。

応用技術研究所では、最適化という観点から、アナログとデジタルの双方を駆使して強度計算し、部材設計を行います。

基礎的な手計算と複雑なシミュレーションをデジタルで行うことで、お客様のご要望にお応えしております。

名古屋ボストン美術館の構造設計 〜強度 + 振動〜

名古屋ボストン美術館とは


名古屋市内でも有数の繁華街である金山。

駅前にそびえ立つ金山南ビルの中に、アメリカ ボストン美術館の姉妹館である名古屋ボストン美術館があります。

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支柱が無い


外観を見ると、一風変わったデザインが目に留まります。

3〜5階部分が付き出る構造となっているからです。

しかも、支柱が無いのです。

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最適なフレーム設計をすれば、このような構造は可能です。

しかし、強度基準を満たすだけでは済まなかったのです。


強度以外に必要な基準とは


ボストン美術館から借りている大事な展示品です。

そのためか、搬入時に床の振動が出にくい構造にして欲しいというご要望があったのです。

重量物を持った運搬車が移動するときに、振動が発生しづらい構造にすることが、設計時の大きな課題でした。


強度計算プラス振動のシミュレーション


強度計算では一般的な片持ち梁の構造です。

要求の強度をクリアするだけではなく、振動のシミュレーションも実施し、指定の重量物を搬入・搬出する際に振動が出にくい構造を実現することができました。


振動というパラメータ


強度計算では、要求の応力に耐えるという目的の他に、振動させないことが重要になる場合があります。

よく知られているものとして、橋梁の設計があります。

強風や多数の自動車往来により、橋が共振して崩壊した例もあるくらいです。

応用技術研究所では、お客様のご要望だけでなく、専門家としての視点で重要なパラメータを見つけ、ご提案しております。

アメリカ メトラ社 2階建て通勤車両の車体強度設計

メトラ社 2階建て通勤車両の車体強度設計



メトラ_日本車両より.jpg


アメリカのメトラ社はイリノイ州シカゴとその周辺で通勤鉄道の運営を行っている鉄道会社です。

シカゴ周辺は通勤客が多いため、大量輸送するために2階建て車両を使っています。

実は、強度計算をする上で、日本とは異なる規格を満たす必要があるのです。


鉄道車両業界における衝突強度基準の違い


具体的には、

時速120km/hでカベに正面衝突したときに車両がつぶれないことです。

アメリカ映画では、列車同士が正面衝突するシーンが出てきます。

一度はご覧になった方もいらっしゃると思います。

国土が広いアメリカの場合、主要幹線であっても日本のように複線にすることが困難です。

アメリカ大陸を横断する鉄道でも、単線部分が多くなります。

単線の場合、列車同士が正面衝突する事故が起きる可能性が高いのです。

そのため、正面衝突が発生したとき、乗客の安全確保が優先されます。

日本とアメリカの鉄道におけるお国柄の違いが車体の強度設計に現れている事例です。

正面衝突_強度.jpg


ウラ話になりますが、メトラ社の車体には、正面衝突しても車体がぐにゃりと曲がらないように、フレーム(桁)が入っています。


600ページに及ぶ強度計算書


列車が正衝突した場合を想定し、強度を出すにはフレームを太くしたり頑丈にする必要があります。

しかも、軽量化という課題をクリアするために、車体を構成する各部材の強度計算を繰り返しました。

強度基準を満たし、なおかつ車体を軽くするために最適な構造を目指しました。

スポット溶接やスミ肉(フィレット)溶接など、溶接部の強度計算は膨大な量になりました。

その結果、600ページにもなる強度計算書が出来上がりました。

溶接強度計算1.png


溶接強度計算2.png


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アメリカの審査基準をパスした背景


手計算を繰り返す強度計算はもちろんのこと、強度シミュレーションを行いました。

アナログとデジタルの両方を駆使したおかげで、決められた納期内での強度計算が実現しました。

アナログだけ、もしくはデジタルだけで計算していたら・・・

納期に間に合わないばかりか、最適な車体設計ができなかったことでしょう。

溶接強度計算.png


応用技術研究所の強み



アナログとデジタルを併用することで、お客様のご要望に迅速に応えることが可能です。

デジタルだけに偏らず、アナログの良さも活かし、最適な強度設計を実現します。

産官連携事例 〜ピギーバック式旅客船の設計・開発〜

離島航路のバリアフリー化及びシームレス化


平成18年、高齢者、障害者等の移動円滑化を促進するため、通称バリアフリー新法が施行されました。

現在、バリアフリーガイドラインが整備され、ガイドラインに従って旅客船のバリアフリー化が進められています。

特に、離島航路の利便性確保と活性化を図るため、乗客がバスに搭乗した状態で乗船可能なピギーバック式旅客船が提案されております。

ピギーバック式旅客船の設計・開発_国土交通省


今回、国土交通省主導によりピギーバック式旅客船が建造されることになり、その付帯設備としてバスが円滑に乗下船するためのランプウェイおよびランプドアを開発しました。

ピギーバック式旅客船_車両乗船用橋梁の設計・開発


ピギーバック式旅客船_車両乗船用橋梁の設計・開発_昇降装置


船という制約の中で


バスを船に積載する場合、バスを保持するためのフレームが必要となります。

船舶によるピギーバック輸送の場合、単に強度を維持するだけではダメなのです。

それは、船の最大積載量という制約があるからです。


ムダを省いた構造にする


他ではこれ以上軽くできない。

それこそがこのプロジェクトの始まりでした。

バスを積載するには8トンの構造部材が必要になる。

しかし、それでは船に載せることはできない。

2トンに軽量化できないか。

とんでもない命題の中、構造設計を行いました。

構造設計_ピギーバック_01


強度計算書_ピギーバック_01


強度計算書_ピギーバック_02


3D CADを使う理由


基本的な強度計算は手計算で行いました。

しかし、構造体全体での応力計算となると、大変に面倒で時間がかかります。

そこで効果を発揮したのが3D CADによるシミュレーションです。

一番の目的は、

製作時の手戻りをゼロにすることです。

組立時のボルトやピンの逃がし等、手計算では見抜けないような干渉箇所が瞬時に発見できます。

手計算と3D CADのコラボレーションが功を奏しました。


製作現場で喜ばれた


3D CADで組み立て検証したおかげで、製作時に発生し得る部材同士の干渉箇所まで特定できました。

そのため、部材の干渉が起こらない設計とし、製作現場でのトラブルを抑えることができました。

製作現場から作りやすかったとの評価を頂くことができました。

ピギーバック式旅客船_車両乗船用橋梁の設計・開発_組立


ピギーバック式旅客船_車両乗船用橋梁の設計・開発


ピギーバック式旅客船_車両乗船用橋梁の設計・開発_テスト.png


ピギーバック式旅客船の設計・開発_国土交通省

事例紹介(特許取得、意匠登録、開発事例)

特許取得等
特許番号/出願番号:4684456(特許出願番号 / 特願2001−111611)

特許の名称:車両用変速操作装置のブラケット

出願日:2001年4月10日

【概要】
従来の車両用変速装置のブラケットの構造は、主に引張・圧縮荷重に応じて決められてきた。そのため、引張・圧縮荷重の負荷を受け持つリブが多数配置され、金型構造を複雑にしてきた。この発明では、せん断力に応じて構造を決定するため、リブを少なくすることができ、金型構造を単純にすることができる。また、ブラケットのリブも減らせるため、材料消費も抑えることができる。


意匠登録
意匠登録番号:1519243(意匠出願番号 / 意願2014−019258)

意匠に係る物品:お好み焼き用焼き型

登録日:2015年2月13日

【概要】
富士山の形をしたお好み焼きを焼くための焼き型。

富士山の形をしたお好み焼きを焼くための焼き型 特許事例紹介2.jpg


開発事例@
平成25年10月から1年6ヵ月の開発期間で、下図に示される船舶用の設備を設計しました。(完成時は緑色で塗装)

船舶用の設備を設計


開発事例A
湖西市で飲食行を営む浜名湖屋の課題を、湖西市商工会内にある新技術・新産業調査研究会の会員企業(虚ト澤製作所)と一緒になり、調理道具の開発によって解決を図りました。

富士山の形をしたお好み焼きを焼くための焼き型
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